
その3 初任運転者等への指導及び適性診断の受診

新たな安全対策として、バイク便を除く貨物軽自動車運送事業者は、上記3項目に該当する運転者に対して国土交通大臣の認定機関で適性診断の受診をさせた上で、特別な指導を行わなければならなくなりました。
令和7年3月31日までに貨物軽自動車運送届出が済んでいる事業者について、適性診断受診は3年間、指導については2年間の猶予期間が設けられていますが、令和7年4月1日以降に届出をする事業者については、猶予期間は設けられていません。
また、適性診断の種類、受診日及び特別な指導内容、指導時期を「貨物軽自動車運転者等台帳(書面またはパソコン・スマホ等を利用した電磁的なもの)」に記録・保存する義務があります。
以下、適性診断の受診時期と特別な指導実施時期についての図になります。
受診時期や指導実施時期については、貨物軽自動車運送経営届出を行った時期や対象となる運転者の種別によって違いますので、注意しましょう。
尚、➀初任運転者(過去に一度も・・・)とは、乗務日前3年以内の意味となります。

4種類の適性診断とその内容
➀初任診断
- 所属する貨物軽自動車運送事業者の運転者として初めて乗務する運転者が対象
→診断結果を基にプロドライバーとしての自覚、事故の未然防止のための運転行動等及び安全運転のための留意点等についての助言・指導を行う
②適齢診断
- 65歳以上が対象
→診断結果を基に加齢による身体機能の変化の運転行動への影響を認識してもらい、事故の未然防止のための身体機能の変化に応じた運転行動についての助言・指導を行う
③特定診断 Ⅰ
- 死亡または重症事故を起こし、且つ、当該事故前の1年間に事故惹起していない者
または - 軽傷事故を起こし、且つ、当該事故前の3年間に事故惹起したことがある者が対象
→交通事故を引き起こすに至った状況等について聞き取りを行い、運転経歴等を参考に、交通事故の再発防止に必要な運転行動等についての助言・指導を行う
④特定診断 Ⅱ
- 死亡または重傷事故を起こし、且つ、当該事故前の1年間に事故惹起した者が対象
→受信者の運転性向の基本要因に係る諸特性を明らかにするとともに、交通事故を引き起こすに至った運転特性及びその背景をなった要因などを参考に、交通事故の再発防止に必要な運転行動等について助言・指導を行う

特別な指導については以下の通りです。
初任運転者指導
- 貨物自動車運送事業法その他の法令に基づき運転者が遵守すべき事項
- 事業用自動車の運航の安全を確保するために必要な運転に関する事項
- 添乗指導(可能な限り実施)
上記の添乗指導以外の項目指導で合計5時間以上実施する必要があります。
ただし、乗務日前3年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を受講していた場合、初任運転者に対する特別な指導を受けたものとみなされます。→ 特別指導の省略が出来ます。
高齢運転者指導
- 適性診断の結果を踏まえ、個々の運転者の加齢に伴う身体機能の変化の程度に応じた運転方法等について、高齢運転者自らが考えるように指導する事
65歳以上の運転者を新たに雇い入れる場合、適齢診断を受診すれば初任診断を受診したものとみなされます。また、事故惹起者に該当する65歳以上の運転者を雇い入れる場合は、特定診断を受診することによって適齢診断と初任診断を受診したものとみなされます。
事故惹起運転者指導
- 事業用自動車の運航の安全の確保に関する法令等
- 交通事故の事例の分析に基づく再発防止対策
- 交通事故に係る運転者の生理的及び心理的要因を対処法
- 事故防止のために留意すべき事項
- 危険の予測及び回避
- 添乗指導(可能な限り実施)
上記の添乗指導項目以外で合計5時間以上実施する必要があります
ただし、事故惹起後に貨物軽自動車安全管理者講習を受講させた場合、その指導を実施したものとみなされます。→ 特別指導の省略が出来ます。
最後に押さえておきたいポイントは、運転者を新しく雇い入れる場合には、雇い入れ前のプライベート(自家用車)事故も対象となるので、運転経歴証明書の提出を求めて、その運転者が事故など起こしてしまった場合、雇い入れ前のプライベート(自家用車)事故も把握した上で適切な適性診断を受診させて、指導を行う必要があります。
尚、雇い入れ後は事業用車両での事故のみが対象となります。
例)
初任運転者が入社3か月後に軽傷事故を起こしてしまった。また、この運転者はプライベートで入社2年前にも事故を起こしていた場合 → 「特定診断 Ⅰ」を受診させて、特別な指導を行う必要があります。